発達性トラウマという言葉をご存じでしょうか。
前回のブログ(昨年5月でしたけれども…)で説明させていただいたACEs(小児期の逆境的体験)からも生じる、成長段階で受け続けたトラウマ的体験がもとで生きづらさや人間関係の困難さなどを生じる症状です。
虐待やネグレクトなどでも生じますが、厄介なのは不適切養育という表面からは分かりにくい行為からも発生することもあることです。
「不適切養育」とは子どもへの過度な干渉であったり、子どもに対して否定的に接していたり、親が愚痴を子どもに吐き散らしていたり、きょうだいを比較したりきょうだい間の問題に関心を示さなかったりすることです。これはいわゆる両親(父・母)だけではなく、その子どもの周囲にいる養育者・大人たちも不適切養育の加害者になる可能性があります。
不適切養育では多くの場合、食事などの世話はしていますので、子どもとしてもその実害が見えにくく、そのため、生きづらさなどを感じたとしてもそれは「自分のせい、自分の性格や考え方のせい」と捉え、他者に助けを求めにくく、自己否定感を強化してしまうことが多いのです。
次回はこの発達性トラウマがなぜ不適切養育などから発症するのかについてご説明したいと思います。